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ニューイングランド水族館のボランティア


モントリオールからボストン(USA東海岸)に引っ越した後、”ボストンで絶対やろう”と思ったことを、早速実行に移した。

目指すは、ニューイングランド水族館。
4階建ての本館と、イルカやアシカなどの海棲ほ乳類のショーのための大きな船は、
ボストンのダウンタウンにある「Aquarium」駅を下りてすぐの、セントラルワーフという港に面したところにある。

ニューイングランド水族館
ニューイングランド水族館の正面。
現在は\大幅に改築され、この建物は水族館のほんの一部になっている。



私はそれまで水族館で働いていたわけでも、水産学校出身でもない。
かなり向こう見ずだが、ニューイングランド水族館を、ボストンでの私の職場にしようと決め、潔く(?)乗り込んでいったのだった。


目指すは、ホエールウォッチング部門。
でも、当然、経験もなく面識もない人間が、すぐに望みの職につけるほど、世の中、甘いもんじゃない。
しかし、ここで、あきらめるわけにはいかないので、ボランティアをやらせてもらうことにした。

「生物学助手。仕事内容は、ロブスター室の管理、ロブスターの卵から幼年までの飼育、植物プランクトン管理、塩分・水分・アンモニアなどの
水質管理など。過去に養殖の経験があるとよい。ボストン湾管理プロジェクトで、化学分析に参加することも可能。資格は、大学または大学院で
生物学あるいは化学専攻で18歳以上。1週間に1日、3ヵ月以上できること。」

これが、私が最初に水族館で始めたボランティアのジョブ・ディスクリプション(募集要項)だ。

私が想像していたボランティアの仕事は、せいぜい、飼育職員の手伝いくらいだったが、
案内を見ると、飼育だけでも、研究室の動物飼育、展示水槽の動物の飼育、海棲ほ乳類の飼育、迷子の赤ちゃんアザラシの飼育があるし、
水族館のテーマである「展示、保護、教育」を担当する部門、セールス、広告、動物医療、秘書などにさえ、ボランティアが募集されている。

ホエールウォッチングの関係は、もうシーズンも終わるころで、募集してなかったが、
代わりに、ボランティアに恩恵として与えられる、年一回のホエールウォッチングの無料招待を、私ももらえることになった。

それで、早速、週末には、旦那と共に、ボストンで初めてのホエールウォッチングに行った。



ホエールウォッチング船 ボイヤジャー
水族館のホエールウォッチング船
”ボイヤジャー”号


ザトウクジラの潮吹き


ザトウクジラの潮吹き

ボストンの港を出て、約2時間で、”ステルワーゲン堆”と呼ばれる、クジラの棲む場所に着く。
クジラの姿が見えると、船は減速し、ナチュラリストの解説が始まる。
現れたクジラは、初めてのザトウクジラ!
ザトウクジラの潮吹き       
ザトウクジラの白くて長い胸びれが、
プランクトンの豊富な海の色を通して
緑色に見える。

頭には、ストーブボルトと呼ばれる
こぶのようなものがたくさん。
ザトウクジラの背中

ザトウクジラの背中

こうやってしばらく泳いだあと、
クイと背中を丸めると・・・
尻尾をあげて潜る。 2頭のザトウクジラ
こんな尻尾で海面を叩くパフォーマンスも見せてくれた。

ザトウクジラは、
なかなか、写真写りがいい。
ザトウクジラ ロブテーリング
逆光のザトウクジラ たっぷり2時間のウォッチングが
終わりに近づくころは、
もう夕陽のころ。
ボストン夜景

港に着くころには、日も暮れ、ボストンの町には灯が灯ってました。



水族館の職員もボランティアも、皆、飾りッ気がなく、気さくで、シャイだけどフレンドリーで、仕事は実に楽しかった。
このボストンでの2年間の日々には、クジラに関わった以外にも、生涯忘れられない経験を積むことができた。


水族館のエドジャートン研究室で、ロブスター飼育のボランティアを始めて数ヶ月、仕事にも、水族館にも慣れると、
あちこちを出歩いて、いろんな部署に顔を出すようになった。
館内は、顔見知りを作れば作るほど、自由が利き、そうなるといろんな可能性も出てきて、更に楽しくなり、ますます居心地もよくなり
やがて、平日は水族館に入り浸りになった。これがほんとに、”水が合った”というのだろう・・。


ニューイングランド水族館は、アメリカの中でも、結構大きな水族館らしく、時々日本の水族館関係者が、見学に来られる。
そんなときは、すかさず「ホエールウォッチングも行ってもらったら?」「それはいい!」ということで、いつもお供でクジラを見る機会を得た。
(いえ、ちゃんと、仕事もやってましたよ〜!クジラを見るのは、その合間です!)
ザトウクジラ 背中 この日は、霧がかかってました。

港を出るときは晴れなのに、沖では霧、と言うことは
そんなに珍しいことでもない。
ザトウクジラ 背中 ザトウクジラ 背中
ザトウクジラ 背中

霧の中の、幻想的なウォッチングもまた楽し、ということで
お向かいのホエールウォッチング船にも、こちらと同じく、たくさんの見物人が。

ここはクジラの溜まり場であると同時に、ウォッチング船の溜まり場でもあり、
同じクジラを、数隻の船が代わる代わるに見ることもある。

ザトウクジラとホエールウォッチング船
ザトウクジラ 背中 山の天気と同様、海の天気も変わりやすい。
やがて、霧が晴れる。

そうなると、クジラの潮吹きも、探しやすくなり、
もっと多くのクジラが見られるようになる。

このザトウクジラは、充分に太って、栄養状態GOOD!

肥えたクジラの背中に、日があたってきれい。
ザトウクジラ 背中
ザトウクジラ 尻尾 ゆっくりと尻尾をあげて、ダイブ。
ストーブボルトの見える頭から、
鼻の穴、肥えた背中。

ゆっくりと泳いでいる。
ザトウクジラ 背中
水族館の中を探検して回ると、やりたくなることが次から次から出てくる。

水族館なんだから、やっぱり、展示水槽の飼育もやってみたい。

オンザジョブトレーニング(実際に仕事をしながら、覚えていくやり方)が多い中で、館内の水族館ガイドには、水族館の各展示の説明や
お客さんとの接し方、水族や環境についてのいろんな情報が載った分厚い資料がもらえ、1ヵ月の研修がある(テストもあるけど、何せ
館内には先生がいっぱい!訊く人には困らない)水族館ガイドは、水族館を手っ取り早く知る、一番の方法で、逃せない。

ボランティアコーディネーターのエリザベスは、やりたいことが見つかるたびにやってくる私を、
「今度は何がやりたいの?」と、いつも笑顔で迎えてくれた。

そうやって、ボランティアを毎日楽しくやっていくうち、やがて、半年が過ぎ、
待ちに待ったホエールウォッチングのボランティア募集の張り紙が、ついに、掲示板に掲げられた!
                                                                        


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